以前のリビジョンの文書です


Art-Net (DMX over Ethernet)

Art-Net のネットワークの基幹となる Ethernet を利用したLANの構築には DMXケーブルのときとは異なる知識が必要となりますが、 ITエンジニアでもない限りハードルの高いものと思われます。

音響(PA)のネットワークオーディオ規格「Dante」も一般的になり、 LANの知識は今後さらに重要になるでしょう。

Art-Net(TM) Designed by and Copyright Artistic Licence Holdings Ltd.

https://artisticlicence.com/

<編集中>

Art-Net

アドレス構成

Art-Net機器は Port-Address というアドレスを割り当てる。
機器が必要なチャンネル数に応じて、複数の Port-Address を持つことができる。

Port-Address は15bitの値で、Net、Sub-Net、Universeで構成される。

Net:Sub-Net:Universe

NetSub-NetUniverse
14-8bit (0-127)7-4bit (0-15)3-0bit (0-15)
  • 1つの Universe はDMX512の512チャンネル分のデータフレームを扱う
  • ネットワークには、最大 32768 Universe が存在できることになる
  • Art-Net 2 規格までは Net=0 固定で 256 Universe までだった
  • DMXアドレスをディップスイッチで設定していた名残か、Net Switch、Sub-Net Switch と表記されることがある
  • Sub-Net と Universe を8bit値として扱い 1~256 と表記されることがある

Controller (コントローラー)

調光卓などの中心的なデバイスのこと。

Art-Net 2 規格では Server と言われていた。

Node (ノード)

灯体や様々な機能を提供するデバイスのこと。

Art-NetからDMX512への変換機や、LEDテープ・LEDパネルのコントローラーなど。

Media Server (メディアサーバー)

Media Extensions

OEM code

メーカー、機器ごとに登録されているコード。

https://art-net.org.uk/join-the-club/oem-code-listing/

ESTA manufacturer code

RDMにも使用されている、メーカーのコード。

https://tsp.esta.org/tsp/working_groups/CP/mfctrIDs.php

Art-Netプロトコル

基本的なパケット構成

0123456789
マジックワードOpCodeデータ
Art-Net0x00LSBMSBdata…

詳細: https://artisticlicence.com/WebSiteMaster/User%20Guides/art-net.pdf

リトルエンディアンとビッグエンディアンが混在しているので注意。

  • Art-Netのパケットは UDP ポート6454番 (0x1936) で通信する
  • UDPなので、当然パケットが届かないときもある

ArtPoll

ネットワーク上にあるArt-Net機器を探すためのパケット。

TalkToMe フラグに応じて ArtPollReply を返答する。

ArtAddress

Art-Net機器の Port-Address を確認・設定するためのパケット。

ArtIpProg

Art-Net機器のIPアドレスを確認・設定するためのパケット。

ArtDmx

DMX512データフレームを送信するためのパケット。

Ethernet (LAN) と TCP/IP

RJ-45コネクタのいわゆるLANケーブルで接続する。(他には光ファイバや同軸ケーブルなどの種類がある)

  • Ethernet は有線の LAN (Local Area Network) を構築するための規格の名前
  • Wi-Fi は無線の LAN の規格の名前
  • 実際の通信は TCP/IPプロトコル のデータを送受信することにより行う

アドレス構成

Art-Net機器がLANで通信するためには、TCP/IP機器としての「IPアドレス」が必要となる。

IPアドレスは、DHCPによる自動割当て、または固定アドレスとすることができる。

DHCP (自動)

ネットワーク内にあるDHCPサーバーが、機器ごとに自動的にIPアドレスを割り振る仕組み。

DHCPサーバー機能を内蔵した調光卓もあるが、ルーターがその機能を担うことが多い。

例えば grandMA2 はDHCPサーバが見つからないとき、自身で 169.254.c.d を使うようになっている。

固定IPアドレス (Static)

ユーザーが自身でネットワークを設計し、割り当てるIPアドレス。

計算による生成

機器のMACアドレスとOEMコードを元に生成する方法もある。(これも固定IPアドレス)

MACアドレス u:v:w:x:y:z のとき

IPアドレス a.b.c.d

abcd
2x + OEM(上位4ビット) + OEM(下位4ビット)yzNet switch off
10x + OEM(上位4ビット) + OEM(下位4ビット)yzNet switch on

このときサブネットマスク 255.0.0.0 (class A)

ここでの Net switch は、Art-Net 2 以前の名残りと思われる。

  • 原則的にルーター超えはしない
  • 2.b.c.d アドレスはグローバルIPアドレスの範囲なため、インターネット接続のできるネットワークには接続しないこと

ブロードキャスト (Bloadcast)

コントローラーからノードへの通信はブロードキャストアドレスへ送信するブロードキャストでもよいが、 ノードのIPアドレスを指定できるのであればユニキャストのほうが ネットワークのリソースを節約でき、高速でより確実に通信できる。

Wi-Fi環境では、Wi-FiパケットにBroadcastフラグがあり、うまく使えば効率化できる。状況に応じた設計が必要。

おまけ

EthernetやTCP/IPの用語と、Art-Netの用語で似たような言葉があり少しややこしい。

詳細は専門書籍等に譲る

※想定:IPv4

機器に関するもの

ハブ (HUB)

Ethernetの配線を分岐するための機器。

スイッチングハブ、インテリジェントハブ、リピーターハブ(ノンインテリジェント)などの種類がある。
最近はスイッチングハブが主流。

スイッチングハブやインテリジェントハブはポートごとに接続された機器のMACアドレスを認識し、データを送信するか・しないかを自動的に判別する。
リピーターハブは垂れ流し。

スイッチングハブを「スイッチ」、リピーターハブを「馬鹿ハブ」と呼ぶこともある。

ルーター (Router)

ネットワークと別のネットワークを接続する機器、通信の宛先によって経路を仲介する。

インターネットへの接続機能や、DHCPサーバの機能、VPNなどの機能を持つものもある。

アクセスポイント (Access Point, AP)

Wi-Fiを接続するための基地局。

SSIDとセキュリティキー(パスワード)で接続する。

etherCON (イーサコン)

Neutrik社のいつもの形で RJ-45モジュラーコネクタを内蔵したコネクタ。

http://www.neutrik.co.jp/jp/ethercon/ethercon-cable-connector-carrier/

LANケーブルやコネクタには通信速度に応じたカテゴリがあり、カシメ工具等も気を付けるべき。

設定に関するもの

MACアドレス (MAC address)

Ethernet の物理的なポートに割り当てられている一意なアドレス。

機器同士はこのアドレスを使って通信しているが、通常、ユーザーがMACアドレスを意識することはない。

8bit x 6個の16進数で、例えば「01:23:45:67:89:AB」のように表記する。

IPアドレス (IP address)

TCP/IPのネットワーク上で機器へアクセスするために使うアドレス。

8bit x 4個の10進数で、例えば「198.51.100.0」のように表記する。

同じネットワーク内の機器とは、 自動的に生成されるIPアドレスとMACアドレスの変換表(ARPテーブル)を使って 相手先の機器を特定して通信している。

一台の機器が複数のIPアドレスを持つことができる。

一つのLAN内に複数のネットワークが同居できる。

インターネットでは「www.sugakoubou.com」のような「ホスト名+ドメイン名」でアクセスするが、 これはインターネット上に設けられたDNSサーバーが変換してくれている。

サブネットマスク (Subnet Mask)

IPアドレスの範囲グループを分け、ネットワークを分割するための値。

例えば「255.255.255.0」のような、2進数で上位から連続した”1”と、下位の連続した”0”の値である。

ネットワークアドレス (Network address)

同じIPアドレスのグループを持つネットワークそのものを表す。(機器の設定には使わない)

IPアドレスとサブネットマスクをもとに、ネットワークアドレスとブロードキャストアドレスを求めることができる。

198. 51.100.  3  =  11000110.00110011.01100100.00000011 --- IP Address
255.255.255.  0  =  11111111.11111111.11111111.00000000 --- Subnet Mask
                  ↓
198. 51.100.  0  =  11000110.00110011.01100100.00000000 --- Network Address
198. 51.100.255  =  11000110.00110011.01100100.11111111 --- Bloadcast Address

この分割されたネットワーク(サブネット)は「198.51.100.0/255.255.255.0」または「198.51.100.0/24」と表記することができる。

ネットワークアドレスとブロードキャストアドレスは機器へ割り当てることはできないため、 実際に使用できるIPアドレスは 198.51.100.1~254 の254個となる。

ブロードキャストアドレス (Bloadcast address)

そのネットワークにある機器全体へデータを送信したいときに使うアドレス。

逆に、特定の機器のみへ送信することを「ユニキャスト (Unicast)」という。

デフォルトゲートウェイ (Default Gateway address)

通信の相手先のIPアドレスが同じネットワークにないとき、 デフォルトゲートウェイへその通信データを送信することにより、 ゲートウェイがその先の別のネットワークへ通信を仲介してくれる。

通常はルーターのIPアドレスを指定する。

UDP、TCP、ポート

通信データの論理的な種別。

グローバルIPアドレス

世界中のインターネット上で、組織ごとに割り当てられ使われているIPアドレスの範囲。

プライベートIPアドレス

テスト用やグローバルIPアドレスが必要でない用途など、LAN内で自由に使えるIPアドレスの範囲。

  • 10.0.0.0/8 (10.0.0.0~10.255.255.255)
  • 172.16.0.0/12 (172.16.0.0~172.31.255.255)
  • 192.168.0.0/16 (192.168.0.0~192.168.255.255)

一般的なプロバイダへの接続でも、ルーターのみグローバルIPアドレスを使い、LAN内ではプライベートIPを使うことが通例。

ループバックアドレス

自分自身を指すIPアドレス

  • 127.0.0.1 (localhost)

パケット

送受信するデータのひと固まりを「パケット」という

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artnet.1579593328.txt.gz · 最終更新: 2020/01/21 16:55 by sugakoubou